出荷量首位のストロングゼロは僕たちに何をもたらしたのか

2018年の缶酎ハイの出荷量は、ストロングゼロが氷結を破って首位になるそうだ。
氷結は缶酎ハイ出荷量では16年連続首位だったので、ちょっとした快挙かもしれない。
 
ヘビーユーザーの一人として、
  • 人気の秘密
  • 高度数チューハイが日本人を幸せにしたか
について述べたい。

ストロングゼロの人気の理由

正直な話、僕は9%のチューハイのブランドによる味の違いがよくわからない。
  • ストロングゼロ(サントリー)
  • 氷結ストロング(キリン)
  • もぎたて(アサヒ)
  • 小売各社のプライベートブランド
特にレモンやグレープフルーツのようなメジャーな味だと、ブラインドで飲んで当てられる自信が無い。これだけ愛飲しているにも関わらず。
ただ、この1年間を振り返ると、価格が同じだったらなんとなくストロングゼロを選んでしまうことが多かったように思う。

直接的な理由は、昨年から、メディアで高度数チューハイのヤバさが取り上げられるようになり、SNSでも高度数チューハイについて発信する人が増えたからだと思う。
僕もそのうちの一人だ。2012年頃にはすでに愛飲していたが、それについて語ろうとは思わなかった。
そして、我々が高度数チューハイについて言及したいときに、その代名詞として使うのがストロングゼロなのである。

では、なぜストゼロが高度数チューハイの代名詞としての地位を確立できたのか?
僕は「ストロングゼロ」というネーミングが秀逸だからだと考えている。
アルコール度数がストロングで、糖類がゼロなのだ。
商品の売りが明確で、インパクトがある。

高度数チューハイに特有のすぐにガツンと効く酩酊感に言及したいとする。
「氷結ストロング」でも悪くないけれど、「もぎたて」だと、「あぁ、あの9%のヤバいやつね!」ということが一発では伝わらない。
メーカーの担当者からすると面白くないかもしれないが、どうせ味はさほど変わらないのだから、通じやすい名前を使いたくなるのである。

 

ストロング系酎ハイは僕たちを幸せにしたか

実はストロング系チューハイの利益率は他の商品と比べると低い。
9月上旬のある日の夕方。都内スーパーの酒売り場には、色とりどりの缶チューハイがぎっしりと並んでいた…
この記事に出ている試算だと、350ミリリットル缶1本あたりの利益は30円程度で、これはビールよりも30%低いらしい。
理由としては、価格競争が激しいことと、原材料の果汁が結構高コストであることが挙げられている。
 
人々は、倹約思考で、安くてガツンと酔える酒を求めている。
メーカーは、それに応えて、くてグビグビ飲めてガツンと酔えるストロング系チューハイを生み出した。
だが、消費者が高価で5%しかアルコールが含まれていないビールから、ストロング系チューハイに移行するとメーカーは儲からない。
 
メーカーが利益を犠牲にして作ったストゼロで酔っ払う僕たちは幸せなのだろうか。
マルクスは賃金は労働力の再生産コストにより決まると言った。
賃金は、労働者の生活が成り立って、明日も働こうと思わせる程度の水準で落ち着くのだと。
これは現代でも一定程度は通用すると思う。
ストロング系チューハイは労働力の再生産コストを下げることで、我が国の賃金上昇を抑えているのではないだろうか。
倹約してストロング系チューハイで酔っ払う僕たちは、狭い袋小路に入り込んでいるのではないか。
 
ストロング系チューハイが我が国のマクロ経済に与える影響については、専門家による詳細な研究を期待している。
だが何はともあれ、僕たちはすでにストロングゼロを知ってしまった。
するすると飲めてガツンと酔えるこの偽りのソーマから離れることは難しいだろう。
 

悩みはなくなりませんが、悩む思考力はなくなります

漫画家のカレー沢薫さんが以前モーニングで連載していた「クレムリン」という緩くてシュールなギャグ漫画がある。
その中で、主人公(?)が開発した「スーパーぼんやりサプリ」という商品が働き盛りの男性に大ヒットするというエピソードがある。
スーパーぼんやりサプリのパッケージにはこう書かれている。
10種のハーブで気分あいまい
悩みはなくなりませんが
悩む思考力はなくなります
もうお分かりでしょう。
ストロングゼロはスーパーぼんやりサプリだったんです。
悩みはなくなりませんが、悩む思考力はなくなります
 
なお、このイラストは作中に出てくる「スーパーぼんやりサプリ」のパッケージを参考に私が書いたファンアートです。
 
本年最後の更新です。
皆様良いお年をお迎えください。
 
 
 

コメント

  1. SPQR より:

    米国で社会問題化している鎮痛剤オピオイドは「合衆国のGDPを押し下げている」と、公的機関にまで指摘されている状況だそうですが、日本におけるそれは、ひょっとするとストロングゼロなのかもしれませんね。

    • minusniki より:

      コメントありがとうございます。
      米国の鎮痛剤の濫用については私も何かで聞いたことがありましたが、そこまで明確に指摘されているとは知りませんでした。
      ストロング系に限った話ではないのですが、処方箋なしで24時間いつでも買えてしまうのがアルコールのヤバいところだと考えてます。